うちのお父さん的なアルツハイマー型認知症 苛立ち
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介護する側の苛立ち
介護、特にアルツハイマー型認知症の人の介護は、大変です。なぜなら、介護する側はされる側に対し、危険な事やされると困ることを伝えるのですが、基本的には介護される側は、全く覚えていません。
ところが介護する側は、「昨日も言ったでしょ」「毎日言ってるのに」という思いが募ってくるのです。ごく普通のことです。
そのため、相手がアルツハイマー型認知症の患者であるということは、十分承知しているにもかかわらず、持って行きようのない苛立ちが、日々のやり取りの中で多く発生してしまうのです。
そしてまた、優しく接することができなかった場合に罪悪感を感じる人もあるでしょうし、思春期の娘が父親を嫌うかのように、姿を見るたびに苛立ちの感情が芽生えるという人もいることでしょう。
介護される側の苛立ち
また介護する側だけが苛立つわけではありません。介護される側も、病気の影響で、自分が行ったことや感じたことの全てが、根こそぎ消えてしまっているわけですから、全く身に覚えのないことで、介護してくれている家族から非難されたりすると、当然理不尽な気持ちから苛立ちの感情が起こります。
私の父も、よく自分のしたことで非難されても、それを怒りながら、もうすでにこの世にいないおじいちゃんの仕業だと訴えます。もしくは今まさに父に、「またお父さん、〇〇して~!!」と怒っている母に対して、「おまえがやったんやろう!」と怒ったりします。
父の立場になって考えてみたら、確かに腹が立ちますし、理不尽極まりない気持ちでしょうね。真犯人をあげたくもなりますね。
どちらが折れるべき?
もうすでにお分かりかも知れませんが、アルツハイマー型認知症は、忘れる病気です。したがって、今あなたが怒っている内容は、もうすでにアルツハイマー型認知症の人の中にはないのです。
そういうふうに考えたら、もう介護する側が折れるしかありません。ですが介護する側も人間です。どう考えても苛立つことは苛立ちますし、その感情を抱え込むとよくありません。
介護する側の注意点
介護というのは、何といってもストレスのかかるものです。本などで、どんなに美しく説明されていても、大変なものです。
説明書などに書かれているのと、全てが同じようにはいきません。子育てなら、「いつか大きくなって手が離れるようになる。」そういった希望の光が見えています。しかし父のようなアルツハイマー型認知症は、常に一進一退でありつつも、全体としては退化していく方向へ進み、決して元通りになることはないのです。
私たちは、今後の医療の進歩にしか期待できません。
だからこそ、はやく味方を多く見つけ、一人で背負い込まないことです。幸い近年は様々な相談窓口や、家族の会といった仲間を見つけやすくなっています。
家族が認知症であることを恥ずかしいなんて思い、一人で抱え込んでいることは、介護する側だけでなく、介護される側にとっても不幸でしかないのです。
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俳優になった気持ちで
アルツハイマー型認知症の父の場合でも、その時にあった出来事はまるごと忘れてしまいますが、その時の気持ちは積み重ねているように感じます。
例えば、母がして欲しくないことを、父が勝手に行った場合、母は当然腹が立つわけです。しかしそこで怒っても、父は覚えていません。
文句を言われた肝心の行為は全く覚えていないのに、母に怒られたことは、何故かじんわり覚えているようなのです。その証拠に、母を「恐い」という時があります。
母が悪いわけでもありません。人間だから、誰でも怒ってしまうんですけどね。
でも、父のようなアルツハイマー型認知症の人にとっては、否定されることで、病状は悪い方へ進むといわれているのです。
それなら腹も立ちますが、困った行為をしているその時に遭遇しない限りは、後から怒るのはやめましょう。
そして現行犯の時も、セリフとして気持ちよく受け止めてもらうワードを使用するか、もしくは他のことで気をそらせてやめさせるほうが得策なのです。「嘘も方便」ということわざの本当の意味を知ったような気がします。
父の場合は、「コーヒー入れたげよか?」「りんごむいたげよか?」「〇〇行くけど、一緒にいく?」など、母も随分上手になったようです。
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デイサービスやショートステイの利用
ひと昔前ならば、老人ホームへおじいちゃんを入れたと言えば、ひどい嫁だなんて言われる時代がありました。
でも大声で言えます。デイサービスやショートステイを積極的に利用し、介護疲れを防ぐことが、介護する方の一番の仕事です!
介護をしていても、趣味をもち、自分の居場所をもち、人生を楽しまなければいけないと、私は思っています。そうすることで、限られた時間だけは、俳優を演じたり、ほんの少しでも優しくなれるのだと思うのです。
そのためには、国にも介護のお仕事をされている方への待遇を、もっと良いものにしてもらいたい。介護のお仕事をされている方が、介護をする人にとってのいちばんの味方なんですから。
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